麦屋 2018.1.6

kanban.jpg

 

あっけらかんとした

大らかさが魅力です!

駅前青空 カフェ

 

takahata fudo station.jpg

モノレール「高幡不動駅」

 

ヒコーキは怖くないのですが、

足の下に何もないモノレールは

恐ろしいです!

 

京王線「高幡不動駅」北口の長い階段を降りると目のまえに住宅街がひろがっていた。

お正月の気分がまだ抜けていないというのに、遠い田舎の黄昏れどきの駅前のようにしんと静まり返っている。

舞台の表と裏のように、南口の駅前の賑わいとは打って変わったその佇まいに一瞬めまいを起こしそうになった。

スマホの画面に視線を落とす。

そこにマップアプリがすでに開かれていて、目的地『麦屋』のアドレスが上部の白い吹き出しに書き込まれている。目的地を示す赤いピンは目のまえに広がる住宅街のすぐ裏手に刺さっている。

一本の道が北に向かってまっすぐにのびていた。

その道を進もうとすると、左側の角の空き地のわきの木組みの板に何枚かの白い紙が貼られていた。

そこに、こう書かれている。

「スリランカカリー」

「タンドリーチキン」

「フレンチトースト」

そして、

「チャイ」

 

shortcut menujpg

短冊メニュー

aggregate menu.jpg

集合メニュー

 

目をあげると小さな丸いテーブルの手前に赤いコートを着た婦人がこちらに背中を向けて座っていた。

 

a lady in a red coat.jpg

赤いコートの婦人

 

「チャイですよ、チャイを飲んでいるの・・・」

もうひとつのイスに座るように勧めてくれるので、向かいに腰かけた。

こうして、わたしはいつの間にか『麦屋』の店の中に居た。

 

store owner in the kitchen.jpg

厨房内の店主さん

 

旅先で行なわれるセレモニーのようなことばのやりとりの後、その婦人は自身をこんな風に紹介した。

「主人は、十数年前に私を残して死んでしまった。それから、ずっと独りで生きてきたの・・・」

わたしはすこし戸惑いながらも頷いて、婦人を見つめてつぎの言葉を待った。

「息子は航空自衛隊の教官をしていて勤務地を転々と変えながら今も働いています!」

お顔がわずかに誇らしげに見えた。

航空自衛隊の教官といえば、相当地位の高い人だろう・・・。

娘さんのことに及ぶ段になると口調は軽やかになり、緊張がほどけていくようにみえる。

しかし、おそらく、娘さんは誰もが知る有名人である可能性があるので、ここでの詳述は避けることにします。

 

talking happily.jpg

楽しそうに語る赤いコートの婦人

 

わたしは、婦人の話を聴いているうちに、この方と以前何処かでお会いしているような気がしてきて、親近感をおぼえた。が、しかし、そのようなことが最近よくあるので、もちろん気のせいなのだが・・・。

でも、初めて会ったわたしに、そのような個人的な話しをしてくれたのは、やはり何かの縁があったのだと感じる。

 

to customers.jpg

お客様へ

 

店主さんの控え目なオススメで、「チャイ」と「チーズピザ」を注文した。

チャイは砂糖がすこし入っていたけど、カルカッタの路上で飲んだチャイに似てスパイスに迫力があり美味しかった。

「チーズピザ」はかなり小ぶりだなと侮っていたが、意外にも空腹を充分に満たしてくれた。

そして、やはり美味しかった。

 

chai and cheese pizza.jpg

チャイとチーズピザ

 

「このお店を始めて10年になります」

店主さんが、そう説明する。

「主人は洋食のシェフをしていたのですが、数年前に辞めて、いまはこのお店を手伝ってくれています」

わたしが・・・、この家に住んでいるのですか? と聞くと、頷いてくれた。

 

the owner who works in the kitchen.jpg

厨房内で作業する店主さん

 

周りの空気が水色から群青色に変わろうしている。

一瞬、そんなことが脳裏を掠めた。

すると・・・、

「寒い思いをさせて、ごめんなさいね!」

わたしは、ギョッとした!

そんな顔をしていたのだ・・・。

赤いコートの夫婦は、上品で丁寧な挨拶を残して、この近所だというご自宅へ帰って行った。

 

leave a polite greeting.jpg

丁寧なあいさつを残して・・・

 

ケンさんは、いえ、いえ、建物に囲まれているので暖かいですよ、と言って、店主さんにおいとまを告げて立ちあがった。

 

full view of the cafe.jpg

カフェ『麦屋』全景

 

中央の植え込みから右側のスペース。

さりげなく、つつましい空間に

ついつい、惹かれてしまう・・・。

モノレールは恐いけど、

また、チャイを飲みに来たい!

 

 

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう