ねじまき雲 2017.10.27

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コバルトの空に展開する銀河系の無数の星たち

そこに点在する島宇宙

島宇宙の中のスイーツランド

スイーツランドの港に寄港する、

スイーツを乗せた小さな客船

『ねじまき雲』

 

 

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当珈琲店御利用規約

 

上の『当珈琲店御利用規約』

を、あらためて下記に記してみます

 

御了承の方のみ御入店のほどお願いいたします。

①三名からのご来店は、基本お断りとなります。

②一時間半内でドリンク追加オーダー願います。

③大声でのご歓談はご遠慮ください。

④作業、電子機器取扱いに制限がございます。

➄ペット同伴不可。

⑥撮影制限有り。(店員撮影不可)

⑦禁煙。

⑧匂いの強い香水お断り。

※店主本位の店ですので退店願う事もありす。

 『ねじまき雲』は珈琲などを嗜むお店でございます。

 

と、上記のように記されています

 

 

 

台風が過ぎ去った晴れた金曜日

ネジを巻く雲を探しに

国分寺駅に下りました

南口を左に出て

公園沿いの長い坂道を下りてゆきました

野川を渡った左側あたりにあるはずの

『ねじまき雲』のお店は

見当たりませんでした

 

 

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通り過ぎてしまった場所

 

 

誰一人、人影がありません

村上春樹の小説の世界の主人公になったような・・・

あたりは、そんなおかしな気配に支配されていました  

通りの向こう側に電気店のカンバンがみえます

通りを渡り、そのお店のガラス戸を開けて

「すいませーん!」

わたしは大声で叫んでいました

誰もいないような気がして・・・

すると奥から

歳の頃七十前後のおばさんが出てきてくれました

助かった! と胸をなでおろしました

「通りの向こう側に有名なカフェがあるはずなんですが・・・」

「この辺りには、カフェはないね」

おばさんは、そう、きっぱり言い切りました

「吉野ビルという建物はありますか?」

「ああ、それなら向かいの二階建てのビルだよ」

見ると『餃子 天福居』と書かれた派手な看板の店がありました

そこはさっき周囲を確かめた建物だった

「あそこに木のドアが見えるでしょ。ときどき、人が来て出たり入ったりはしているけど、あんまりひとを見たことはないね」

わたしは礼を言って、

通りを渡りかえして

もう一度そのドアの前に行きました

 

 

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小さな額縁

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「Closed」

 

 

街道沿いの古い建物のドアの前に立って

そのドアをしばらくぼんやりと見つめていました

 

垂れ下がった流木の木片のようなものに

「Closed」

と記された文字が目に入りました

そのヨコにある小さな額縁のなかに

「NEJIMAKIGUMO」

・・・

ここだったのだ

 

 

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金井一郎個展
『ケンタウル祭の夜』
10/20 Fri~10/31 Tue

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夜景 1

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発光するキノコ

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イヌを誘惑する食虫植物

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メニュー

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マイルドブレンド

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「君の名は?」
「コッコネンです、よろしくネ!」

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街灯に照らし出された『ねじまき雲』のメニュー

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自分の過去を覗き込む女性

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新天地で生命を宿そうとする胞子

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なにも不可解なことはございません

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夜景 2

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対宇宙用通信機器

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船長室と次の寄港地「Marseille」の方角を示す羅針盤と

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宇宙に吹く風

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そして、風のように去ってゆくひと

 

 

ドアを開けると、店内は上映中の映画館のような闇です

14 : 00

開店したばかりでしたが、すでに先客がいました

メニューを片手に持って注文を訊きにきたマスターさんに「マイルドブレンド」をお願いしてから、写真を撮ってもいいですか? と訊くと快諾してくださいました

ドアにかかげられた『当珈琲店御利用規約』の8項目の内容と、お客さんへの実際の対応の仕方とは若干隔たりがあるのだろうなと感じました

いや、むしろこれは、巧妙な冗談か、絶妙な商業的パロディなのかもしれません

いえ、いえ、そのようなことはありませんね?

『御利用規約』の①と⑧に目を通したときは、こらえきれずに思わず吹き出してしまいました(ごめんなさい)

①三名からのご来店は、基本お断りとなります。

⑧匂いの強い香水お断り。

この2項目は相当インパクトありますね!

⑧は、こういうケースもあると思うのです・・・

例えば、電車に乗った瞬間、強烈な異臭に襲われることがあります、鼻粘膜がその場で土下座してしまいそうな。もう、参りました! という感じです・・・

そういう方の入店は、やはりご遠慮ねがいたいものです

欄外の

※店主本位の店ですので退店願う事もありす。

 

このくだりには・・・

内緒ですが・・・苦💛しました

電気店のおばさんが「人が来て出たり入ったりしているときはあるけど、あんまりひとを見たことはないね」と言ってましたが、これは、事実とはすこし異なるような気がします

店舗内には10コほどのイスが置かれていますが、平日なのに、開店間もなくたちまちすべてふさがるほどの盛況ぶりです。ケンさんが立ち上がって席をゆずるほどでしたから

この盛況ぶり、その理由は・・・いったいなんでしょう?

はっきり申し上げますと

わかりません!

男性はわたしともう1人、あとのお客さんは若い女性で占められています

『ねじまき雲』は圧倒的に女性に人気があるお店ということがわかります

お客さんがつぎつぎに入店し息が苦しくなってきました

人気作家の展覧会場は常にこのような状態ですが、『ねじまき雲』に同じ風景が見られます

 

もうすこし写真を撮りたかったのですが、店を出ることにします

ドアを開けた途端、陽光の一斉射撃を全身に浴びて目が眩みました

それでも10月下旬の陽はもう傾きかけています

 

 

長い坂の勾配がきつくなるすこし手前の野川に掛かる小さな橋を渡るとき、突然、脳裏に浮かんできた遠い記憶・・・

まだうちの子が小さかった頃

それはこの流れのすこし下流で釣りをして遊んだときのこと

みねおくんとの淡い想い出

その輪郭を、

そのディテールを、

空の青いキャンバスにほんの束の間

雲の筆は描いて

そして、

抱きしめようとした瞬間

掻き消えてしまいました・・・

 

わたしは我に返ると、長い坂を登りはじめました

 

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ABOUTこの記事をかいた人

Autor : ケン 東京都小金井市在住 個性派系カフェブロガー 個性派系カフェを探して武蔵野界隈に出没中